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高森明勅
2013.8.7 14:49

「慰安所」朝鮮人従業員の日記

第2次大戦中、ビルマとシンガポールの慰安所で働いていた
朝鮮人男性従業員の日記が発見されたという。

発見者はソウル大学名誉教授の安へい直(アンビョンジク)氏。

韓国での慰安婦問題の第一人者といってよい人物だ。

強制連行説について安氏は、
「朝鮮では募集を業者が行い、軍が強制連行する必要は
基本的になかった」との立場。

今回発見された日記の信憑性は、これから慎重に検討されるだろう。

断片的に報じられている日記の記述には、
興味深い箇所も見受けられる。

例えば、「鉄道部隊で映画(上映)があるからといって、
慰安婦たちが見物に行ってきた」(昭和18年8月13日)とか、
「慰安婦に頼まれた送金600円を本人の貯金から引き出して、
中央郵便局から送った」(同19年10月27日)といった記事。

当時、600円がいかに大金だったか。

ラバウルの海軍爆撃隊にいた市川靖人飛行兵曹の後年の証言によれば、彼も相手を勤めた慰安婦から、
両親宛に200円の送金を頼まれている
(客の日本兵にこんな依頼をしていること自体、
「性奴隷」ならあり得ない)。

その時、彼は200円あれば
「山梨県の田舎なら小さな家が1軒建てられるなあ」
と思ったという(『文芸家協会ニュース』平成4年10月号)。

600円ならその3倍の金額だ。

もしこの日記を信用してよければ、
慰安婦が金銭面で実に恵まれた境遇にあった事実を補強する、
貴重な史料になろう。

これまで知られているところでは、文玉珠氏の場合、
3年足らずで何と2万5千円もの貯金をしたという。

また、慰安婦たちが連れ立って映画鑑賞に出掛けている記事からも、
およそ性奴隷などといった表現とは
かけ離れた実態を窺うことが出来る。

残念ながら、慰安婦の募集に携わった時期の日記は
発見されていないようだ。

故意に隠されている可能性はないだろうか。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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